interview Vol.2

阿賀野市の農家が作る米は以前から高い評価を受けていましたが、稲作に加えて、野菜づくりでも新たな取り組みが始まっています。循環型農業で作った野菜を、飲食店に特化して直接届ける野菜ブランド「あがのこよみやさい はたけの座」。その代表を務める若手農家・榎本庄太さんと、地元素材を提供するビストロ オオヤチヤを経営するシェフ・前田裕さんに、阿賀野市の野菜の魅力についてお話を聞きました。

ビストロ オオヤチヤ
店主 / 前田 裕Yu Maeda

大学卒業後、雑誌編集者を経て料理の世界へ。新潟県内のビストロ、レストランで経験を積み、2020年阿賀野市下条町に「ビストロ オオヤチヤ」をオープン。ワインに合う肉料理を中心に、多彩なメニューを提供。日本酒、ビールも一緒に楽しめる、気取らない田舎の食堂・居酒屋を目指している。

あがのこよみやさい はたけの座
ささかみやまびこ農産 代表 / 榎本 庄太Shota Enomoto

高校卒業後、会社員生活を経て家業の農業へ入る。「100年先に続く自然を残す農業」を理念としており、生産した米は2019年度「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」で金賞を受賞。阿賀野市内の仲間とともに飲食店向け野菜ブランド「あがのこよみやさい はたけの座」を立ち上げ、農家と消費者をつなぐ仕組みと地域循環型農業に取り組んでいる。

目次

あがのこよみやさい はたけの座」とはどんな組織なのでしょうか?

榎本 : 農家9軒が集まって、飲食店向けに野菜を生産しているグループです。もともと阿賀野市の農家は稲作が中心で、野菜は地元の直売所や産直コーナーなどに出荷していたんです。でもこのままだと出荷量に限界があって、もっと技術を高めたい、いろいろな作物を作りたいと思っていても、出口つまり売り先がないことには作れないんですよね。そんな時に阿賀野市の佐藤食肉さんから、取引のある飲食店向けに野菜を作ってみないかと声がかかって。飲食店向けに野菜を作って、佐藤食肉さんの配送ルートに乗せて出荷しています。

前田 : レストラン一軒分だと使う量もそんなに多くないですからね。旬の野菜を、少しだけ買いたいっていうニーズがある。

榎本 : そう。多品種少量生産になってくると、自分のところだけじゃ種類が足りないし、手も足りない。だから同じような考えを持つ仲間に声をかけて、飲食店向けに特化して、いろんな野菜を作るようになったんです。

前田 : これからだとプチヴェール、芽キャベツ、オータムポエム、カリフラワー、サヴォイキャベツ、イチヂクなどを使いますね。今よく使うのは甘長なんばん。甘くてお肉によく合います。

ビストロ オオヤチヤはどんなお店ですか?どんなこだわりがありますか?

前田 : この周辺には割烹や料亭はあるけれど、ワインを飲めるお店が少なくて。気軽に入れる雰囲気で、ちょっと手の込んだお料理を楽しんでもらいたい。そんな気持ちで始めました。フレンチが基本ですが、気軽に食べに来てもらいたいので、牛すじ煮込みや南蛮味噌なんかも出します。ビストロは日本語にすると「食堂」という意味なので。

榎本 : 昨日もここに飲みに来たんですよね。実は僕たちは旧笹神村の出身で、近所ということもあって一緒にファミコンをしていた仲なんだよね。

前田 : 阿賀野は人のつながりが濃いですよね(笑)。お店のこだわりは、きちんと手作りしているところですかね。スープやデミグラスソースといった基本的なものを業務用は使わずにイチから作っています。パンも自家製です。あとは気軽に利用できる値段にすることにもこだわっていて。そうなると、使用する食材はおのずと地元のものになってきますね。すぐに手に入るし、旬のものばかりだし、作っている人も知っているから安心。僕たちみたいに小さな店で少量しか使わないところは本当にありがたいです。

榎本 : とくにお気に入りの農家っているの?

前田 : それはもう、やまびこ農産でしょう(笑)。というのは冗談で、いますよ。ほら、笹神の一番の名人の…。

榎本 : ああ、あの人ね(笑)。

飲食店向けの野菜となると、品質にも厳しいものが求められるのでは?

榎本 : 確かにいろんなリクエストはあります。ですから取引先となる飲食店さんには畑を実際に見てもらっています。

前田 : 生産者の顔を知っていて、さらにどんな人かを知っていると、安心はもちろん自信を持ってお客様に出せますしね。

榎本 : さらに、一部の野菜に使う堆肥も、阿賀野市内の畜産農家と協力して、自分たちで作っています。

前田 : やまびこ農産は昔から自分のところで堆肥を作ってますよね。

榎本 : この地域は米の有機栽培のさかんなところで、特別栽培米や無農薬栽培米を作るのに、昔から自分たちで堆肥を作ってきたんですよ。もちろん阿賀野市は酪農・畜産が盛んなことも背景にあります。

阿賀野はどんな土地ですか? そして、これからのお二人の目標は?

前田 : 自然も豊かだし、食材も豊か。ひとことで言えば田舎ですけど、同時に人のつながりもあって。農家同士も連携していて、面白いことができそうですよね。これからも地元の野菜を使うし、コトヨ醤油※など地元の素材を使っていきます。それが自然なことだと思うし、いい循環につながっていくと思うんですよね。いまは予約のお客様だけなんですけど、地元のお肉、あがの姫牛や純白のビアンカ※もレギュラーメニューとして使っていきたいですね。

榎本 : 阿賀野は早くから有機農業に取り組んできたように、新しい取り組みにわりと積極的な土地柄ですね。僕たちの親世代の農家さんが作ってきた取り組みをしっかり受け継いで、高付加価値の米や野菜を作り、さらに販売チャンネルを広げていって農業を魅力的なものにしていきたいと思っています。それに、先ほど話した循環型農業を広げていくのも目標です。飲食店に野菜を提供していて良かったことは、お店を通してお客様からの「おいしかった」という声が聞こえることなんですよ。私たちの作った野菜を、ぜひ食べにきてもらいたいですね。

※コトヨ醤油……阿賀野市にある醤油醸造元。嘉永元(1848)年創業で、昔ながらの「六尺桶」と呼ばれる杉桶を使い、伝統製法による醤油づくりを続けている。
※純白のビアンカ……佐藤食肉が販売するブランド豚。ヤスダヨーグルトの製造過程でできるホエイ(乳清)を飼料にし、白く透き通ってさっぱりとした脂身が特徴。

Share

ビストロ オオヤチヤ

〒959-2026 新潟県阿賀野市下条町12-71
TEL:0250-47-3819
営業時間:ランチ 11:30~13:30/ディナー 18:00~22:00
定休日:火曜(水曜のランチはお休み、日曜のランチは予約のある日のみ営業)

ささかみやまびこ農産

〒959-1923 新潟県阿賀野市勝屋1651
TEL:0250-62-0434
FAX:0250-62-0433
営業時間:平日 8:30~17:00
定休日:日曜・祝日

Other