interview Vol.3

魅力ある食材にあふれる阿賀野市ですが、この豊かな自然を生かして、さらなる名産品を作る動きがあります。それはなんと「うなぎ」。安田瓦の工房が集まる阿賀野市保田地区で、豊かな伏流水を使って養殖されています。うなぎの養殖を手がける水戸部央(ひさし)さんと、それを提供する「瓦テラス」の料理長・池田安見さんに、阿賀野産うなぎの美味しさや、これからの展望についてお話を伺いました。

瓦テラス
料理長 / 池田 安見Yasumi Ikeda

阿賀野市出身。学卒後、県内の温泉旅館の厨房で働く。その後、東京都内の割烹で修行し、新潟にUターン。月岡温泉の有名旅館で長らく和食を担当し、料理長を務める。定年退社後に、縁あって瓦テラスを運営する「つかさコーポレーション」に入社。うなぎをはじめ、あがの姫牛、安田産の牛乳など、阿賀野食材の美味しさを追求〜提供している。

あがの夢コラボ
水戸部 央Hisashi Mitobe

新発田市出身。調理師専門学校を経て食の世界へ。新潟市北区にある老舗割烹・岩松で料理人として働いていたが、株式会社岩松の社長が養殖場を運営するあがの夢コラボを引き継いだ縁で、瓦テラスの運営に関わるように。約1年前からうなぎ養殖担当となり、養殖のノウハウを受け継ぐとともに、愛情込めてうなぎを育てている。

目次

阿賀野の新名物「あがの夢うなぎ」はどのような経緯で生まれたのでしょうか?

水戸部 : 瓦テラスの隣にある地元の製麺業者「めんつう」の会長で、羽田一司さんがうなぎの養殖業を始めようと立ち上げたのが、「あがの夢コラボ」です。残念ながら2016年に志半ばで亡くなられ、現在は割烹岩松の社長がその意志を引き継いで運営しています。

池田 : 羽田会長は私もよく知っていますが、志のある人でしたね。うなぎは昔から、たまにしか食べられないごちそうだった。阿賀野市で養殖したうなぎで人を呼び込み、地域の活性化につなげたいというのが、羽田会長の想いでした。

水戸部 : 日本海側でうなぎの養殖を行っている場所は少なく、新潟県ではここだけです。資源保護の観点から、日本全体で供給されるうなぎ稚魚の全体数が決まっているんですよ。そして、供給の権利を一度手放してしまうと、二度と手に入ることはないんです。私たちは廃業する業者から譲ってもらいましたが、養鰻業者がなくなると、国産うなぎの生産量・供給量が減ってしまうことを意味します。

池田 : うなぎは美味しいですものね。今は高級食材になりつつあるうなぎを、少しでもお手頃に、気軽に食べられるよう提供したいというのも願いです。

「あがの夢うなぎ」はどのように養殖していますか?苦労することはありますか?

水戸部 : 1つの池に約5,000匹、合計2万匹を育てています。毎日、朝6時に餌を作るところから始めます。餌やりをしたら、水の交換作業と泥抜き。その後、水質検査を行います。そして夕方4時頃に再び餌やり。これだけと思うかもしれませんが、うなぎは繊細なんですよ。水温管理、水質検査、水の管理は徹底して行っていますし、うなぎの健康状態も細心の注意を払って観察しています。薬は使いませんので、状態の悪い個体がいたら選別しますし、水質検査も定期的に検査機関にも見てもらっている。毎日何かしら格闘しています。

池田 : 2万匹も面倒見るのは大変だね。

水戸部 : 確かに大変です。でも毎日見ているとうなぎがかわいくなっちゃって。「おや、元気がないぞ?」とか、「餌の食いつきが悪いな…」とか。今は2名のスタッフで交代しながらやっているのですが、休みの日は気が気じゃないです。でも、手間をかけた分だけ美味しく健康に育ってくれるから、池揚げの時は、やっぱりうれしいですよね。

「あがの夢うなぎ」の特徴は?

池田 : 身が締まっていて、きめが細かいですね。だから蒸すと柔らかくなる。皮の部分も薄くて、脂の臭みもない。非常に上品で食べやすいうなぎだと思います。

水戸部 : ここは水がきれいですからね。このあたりで豊富に湧く阿賀野川水系の伏流水を使っていますが、見学に来た同業者からも「水がきれいだね!」と言われます。それに、あがの夢うなぎは日本最北端の養鰻場なんですよ。水温が低いのはネックではありますけど、逆に身が締まるのかもしれません。

瓦テラスはどんな場所ですか?どのようにして、うなぎを提供していますか?

池田 : 阿賀野市の美味しさを一箇所に集めた場所です。レストランでは、「あがの夢うなぎ」をはじめとして、あがの姫牛、純白のビアンカ、新鮮な旬の野菜、お米を、名産の安田瓦で作った器でご提供します。隣のカフェでは、神田酪農※の搾りたての牛乳で作ったソフトクリームに、気軽に食べられるラーメンやスイーツなどもご用意しています。うなぎのタレで味付けした角煮のパオもありますよ。

水戸部 : 私も時々手伝っているんですよ。料理はできますから。

池田 : 土日は若い人が多く訪れますが、平日はご高齢の方も多くいらっしゃいますね。若い人はお肉をオーダーしますが、年配の方はうなぎを選ぶ方が多いです。程よい脂ののりで、食べやすいうなぎなので、非常に喜んでいただいてますね。うなぎそのものの味を楽しんでいただきたいので、素材の味を引き出すような味付けにしています。白焼きもありますよ。

水戸部 : それに養殖場から直接仕入れているので、仲買や市場を通さないぶん、お手頃にご提供しています。

お二人にとって阿賀野のいいところ、豊かだと思うところを教えてください。

水戸部 : 水が豊かできれいなところですね。目に見える水だけでなく、その地下にも潤沢な伏流水を抱いています。「あがの夢うなぎ」はその恵みによって成り立っています。

池田 : 阿賀野の豊かさは、はるか昔から人が住み着いていることが証明していると思います。このあたりは災害が少なく、里山など多様な自然があります。だから、土壌が豊かで何を作ってもおいしい。コシヒカリはもちろんおいしいのですが、コシイブキ※を食べるとわかりますよ。

水戸部 : 米、肉、乳製品と、阿賀野の美味しいものはたくさんあるのですが、そこに「あがの夢うなぎ」が入って、もっと認知されるといいですね。今、養殖量を増やす計画もあるんですよ。美味しいうなぎづくりを追求して、もっと多くの人にうなぎを楽しんでもらいたいですね。

※神田酪農……新潟県酪農発祥の地、阿賀野市で三代にわたって酪農を営む。自社ブランドの牛乳を販売し、ジェラートショップをオープンするなど、先進的な取り組みが注目を集める。
※コシイブキ……コシヒカリの血統を受け継ぐ早生品種。あっさりしていて、濃いめのおかずも合わせやすく、料理を引き立ててくれるお米。
※純白のビアンカ……佐藤食肉が販売するブランド豚。ヤスダヨーグルトの製造過程でできるホエイ(乳清)を飼料にし、白く透き通ってさっぱりとした脂身が特徴。

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瓦テラス

〒959-2221 新潟県阿賀野市保田7373-1
TEL:0250-47-8530
FAX:0250-47-8540
営業時間:レストラン11:00~15:00/カフェ・ショップ10:00~17:00
定休日:水曜

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